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英語世間話、これ英語でどう言うの?

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「斬首作戦」は英語では

2017年09月06日

 

 

 

   核挑発を続ける北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長ら首脳を殺害するという米国や韓国の「斬首作戦」。英文マスメディアなどにはbeheading operationとして報道されています。

 

   アメリカのAP通信、ニューヨークタイムズ紙、ワシントンポスト紙、CNN,イギリスのロイター通信やBBC放送が使っています。中国国営の新華社通信の英語版Xinhua News Agencyもこの言葉を用いています。

 

   beheadというのは、「斬首する」「首をはねる」という意味の動詞です。ランダムハス英語辞典にはbehead a prisonerとして「囚人を打ち首にする」という用例があがっているように処刑の用語です。実際のところ、サウジアラビアは現在でも打ち首の刑罰が実行されています。2015年で少し前の話ですが、麻薬の密輸で死刑判決を受けたパキスタン人に斬首による処刑がおこなわれたという報道が手元にあります。

 

   昨年、イスラム過激派のイスラム国がオレンジ色の囚人服を着せた捕虜の首をはね処刑し、世界を震撼させました。その時の報道のひとつに、Islam State beheaded 8 people.(イスラム国、8名を斬首)というのがありました。動詞のbeheadの使い方がよくわかると思います。

 

  「斬首作戦」はたぶん、英語のbeheading operationを和訳した言い方であろうと思われます。最初にこの言葉を耳にしたときは、ずいぶん「えげつない」言葉だと思ってしまいました。それはともかく、このbeheading operationという言葉、実際には

 

 

  plan the so-called beheading operation

    いわゆる「斬首作戦」を計画する

 

 carry out a “beheading operation”

   「斬首作戦」を実行する

 

 

  というように使われています。So-called(いわゆる)という言葉を前に持って来たり、コーテーションマーク付き(カギ確固付き)で使われていることが多いようです。つまり、世間で言うという意味が付加されていることになります。

 

  アメリカの連邦政府など官公庁のサイトのデータベースでbeheading operationを検索してみました。一件もヒットしましせんでした。官庁が正式に使う語ではないのかもしれません。あるいは、公表されている文書には使われていないだけかもしれません。

 

 ところで、「首をはねること」という意味でdecapitationという言葉があります。Decapitation strategyなどと使われる軍事・政治用語です。これは、敵の軍事・政治の指導部を排除する、つまり「頭を取る」ことによって、敵を無力化する戦略です。これを実施することはdecapitation strikeと呼んでいます。古くからとられてきた軍事戦略です。

 

 したがって、Beheading operationdecapitation operationと呼ぶこともできますが、なぜか昨今のマスメディアはbeheading operationとセンセーショナルな言葉を使っています。

 

 

                                                                                              (引野剛司・甲南女子大学教授 9/6/2017)

 

 

  ここで紹介した表現は、おもに米国での複数の実用例に基づいています。その他の実用例や関連表現は実用・現代用語和英辞典(本体)www.waeijisho.net)をご覧ください。

 

 

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