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英語世間話、これ英語でどう言うの?

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「大渋滞」を英語で言う

2009年08月14日

お盆の大渋滞が始まった。13日午前0時とともに名神や東名などが渋滞しだしていると朝のテレビが伝えていた。ケイタイの交通情報では近所の阪神高速も西行きが朝の8時に芦屋から須磨・月見山まで2時間かかると言う。スムーズに走れると20、30分の距離だ。

渋滞のピークは13、14日で、中央道の下りなどで最長45~50キロの渋滞が予想されると、毎日新聞のインターネット版にあった。45キロの渋滞は経験ないが、10キロ、20キロの渋滞なら、かって東京で働いていた頃、神戸に帰省するときによく巻き込まれた。今ほど道路情報網が整備されていなかったので、東名にするか中央道で行くかは賭けだった。

渋滞することがわかっていても、仕事の都合でこの期間にしか帰省やレジャーができない人はほんとうにお気の毒だ。

さて本題。まずは普通の「交通渋滞」をどういうか。traffic jam,  traffic congestion, traffic snarl,  traffic gridlock,  bumper-to-bumper traffic,  traffic tie-up, backupsと渋滞を表わす語は多い。

英文記者時代、渋滞の記事を書くとき私は traffic jam か traffic congestion を使っていた。 trafficはいうまでもなく「交通」をいう基本語。 ここのjamはイチゴジャム(strawberry jam)とか手作りジャム(homemade jam)とは違って、「押し合いへしあいで、物がいっぱいつまっている」という意味だ。 congestionは「混雑」。

車のバンパー同士がぶつかるぐらい混んでいるというイメージが浮かぶbumper-to-bumper traffic もわりと好きな言い回しだった。

ネイティブ・スピーカーではない人間が自分の好みを言ってもしょうがないので、「交通渋滞」をさすもっとも一般的な表現を見つけるため、『ニューヨーク・タイムズ』のアーカイブスで過去1年をごくごく大雑把にあたってみた。

もっとも多かったのは traffic jam/traffic jams。110件あった。 2位 はtraffic congestion で43件。 あとは bumper-to-bumper traffic の3件。「身動きがとれない交通状態」という意味の traffic gridlock が2件。残りの traffic snarl(かたつむりのようにのろのろの交通)、traffic tie-up(車が紐で括られているような状態)、  traffic back-up(車が積み重なっている状態)はそれぞれ1件ずつだった。だから、「交通渋滞」は traffic jamか traffic congestion で日常会話ならこと足りる。

それじゃ「大渋滞」をいうのにどんな形容詞をかぶせればいいのだろうか。

おおむね、二つある。 major traffic jamと、もうひとつは big traffic jam。前者は固い感じで新聞記事など書き言葉、後者はカジュアルな感じで日常会話の話し言葉のように思えるが、特に区別はない。

で、「大渋滞に巻き込まれている」とアメリカ人が携帯電話でオフィスや自宅に連絡するとすれば、

I get stuck in a big traffic jam.

などと言う。 get stuckは「ある状態から抜け出せない」とか「立ち往生する」という意味でアメリカでは日常、頻繁に使われている。 これは、運転している本人が20、30分間も渋滞のノロノロ運転で、大渋滞だと感じているときの表現。 通常はどの程度の渋滞なのか運転している者にはわからない。だから、たいていは

I get stuck in a traffic jam.とか
We are stuck in traffic. [交通(渋滞)で動けない]

というような言葉で電話連絡する。

かなりローカルで恐縮だが「阪神高速の西行きが芦屋から月見山まで渋滞している」というなら、

Westbound traffic was jammed between Ashiya and Tukimiyama on the Hanshin Expressway.

あるいは
There is a traffic jam between Ashiya and Tukimiyama on the westbound Hanshin Expressway.

だ。jamは「渋滞する」という動詞としても使う。 There isを使った表現の方は、日本人英語というか学生の英作文のようだが、交通渋滞が発生しているというのにThere isはよく使う。There was a traffic jam.を『ニューヨーク・タイムズ』のアーカイブスで調べてみると953件あった。

ずいぶん昔に、雪にかかわる表現がエスキモーの言葉には多彩であると朝日新聞記者だった本多勝一さんが書いているのを読んだことがある。アメリカには交通渋滞に関わる表現は多彩だ。
 


(ひきの・たけし)

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