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英語世間話、これ英語でどう言うの?

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「簡単に単位が取れる科目」の英語表現は数多くある。

2019年11月12日

 

 単位の取りやすい「やさしい科目」「楽な科目」と、単位の取りにくい科目、難解な科目を峻別するのは、大学生にとって最大の関心事のひとつであることは、日本でもアメリカでも同じようです。

 

 「簡単に単位が取れる」授業に関する情報は、学生の間にすぐに広まっていきます。そんなとき、アメリカの大学生たちは、「簡単に単位が取れる科目」をさまざま言い方で表現しています。

 

 もっともオーソドックスというか、スタンダートなのは、easy courseです。アメリカの大学では「科目」はcourseと表現しますから、「やさしい科目」「楽な科目」です。日本語発想そのままですから、われわれにもなじみやすい言い方です。

 

 実用例をあげておきます。インディアナ州の州立大学のIndiana Universityの単位を取りやすい科目について書かれた文書の一節です。

 

 

 Are you looking to take a few easy courses at Indiana University? 

    (Shelby Kliewer,"10 Easy Courses At Indiana University," Society 19)

 インディアナ大学で、やさしい科目をいくつか受講したいとお考えですか?

 

 

 

 これ以外にも、キャンパスで使われている「楽勝科目」をいう言葉があります。スラングの範疇ですが、キャンパス内にとどまらず、一般社会にも広まり、マスメディアなども使っているのでそう特異なスラングとは言えないものをいくつか紹介しておきます。

 

 

 まずは、blow-off course.

 

 「吹き飛ばす」がblow offの意味ですから、直訳すれば「吹き飛ばし科目」ということになります。またblow-offにはなぜか、「楽勝する」(ウィズダム英和辞典)、「さぼる」(ランダムハウス英語辞典)という意味もあるようです。

 

 実用例を二つ紹介しておきます。

 

 

 

   It's a blow-off course they said.

     (Nicole Orr, Columbus, Ohio, Twitter 11/10/2017)

それは、単位を取りやすい科目だと彼らは言っていた。

 

 

 

 Don't be deceived by the course title: this is not a blow-off course.

   ("The Music of Frank Zappa," Joseph Klein, composer, University of North Texas 2019)

授業名にだまされないで。これは単位を取りやすい科目ではないから。

 

 

 

次はgut course. 日本語では「ガッツのある」などと使うgutsは「内蔵」「はらわた」という名詞。これまたなぜか、「単位の取りやすい」「ちょろい」(ランダムハウス英語辞典)という意味が辞書にはのっています。Gutだけで使われることもあるようです。

 

用例を二つ。

 

 

 Sociology was the “gut” course 50 years ago favored by athletes and frat bro’s. (That was before gender studies).

   (Christopher Manion,teacher, PhD.,Virginia, USA, Twitter 9/10/2019)

 社会学は、50年前には、運動選手や友愛クラブの学生が好んで受講した単位の取りやすい科目でした(それはジェンダー研究以前の話)。

 

 

 Every American college has what are called "gut" courses.

   (Ted Landphair,"Pursuing Academic Adequacy in College," Voice of America News 9/18/2011)

どこのアメリカの大学でも、単位が取りやすい授業があります。

 

 

 

次はcrip course。ウエブスター英英辞書(Merriam-Webster)のネット版には、cripはスラングの形容詞として

 

 

easy to do or deal with (簡単にできる、扱いが簡単な)

 

 

と定義されています。

 

 

 実用例を二つ。

 

 I am taking it. It is a crip course.

   (“Crip Course,” Urban Dictionary)

それ、今、取っているけど、楽な科目だ。

 

 

 

 When I went to college the lowest IQ major was journalism which was known as a Crip course and was the laughing stock of the campus.

  (FounderChurch=TRUMP, Washington D.C. Twitter 6/11/2019)

私の大学時代、最もIQの低い学生の専攻はジャーナリズムでした。ジャーナリズムはもっとも単位の取りやすい科目として知られ、キャンパスの笑いの種でした。

 

 

ちなみに、このツイターはトランプ支持者がささやいたようで、トランプ大統領を厳しく批判するNew York TimesやWashington Post, CNNなどの主流のジャーナリズムに対する当てつけに聞こえます。

 

 

 

最後に紹介するのはMickey Mouse course. 時にはfun course(楽しい科目)と呼ばれたりしています。「ミッキーマウス科目」はわれわれの語感でも、理解できます。

 

 

これも、実施の使用例を二つ。

 

 

 Sometimes they're called "Mickey Mouse" courses because a child could pass them.

   ( Ted Landphair,"Pursuing Academic Adequacy in College," Voice of America News 9/18/2011)

子どもでも単位が取れるので、ときには、それらは「ミッキーマウス科目(楽勝科目)」とも呼ばれている。

 

 

 How can people say Criminology is a Micky Mouse course when there is a girl behind me writing a 1,000 word report on her 'feelings.'

   ("Olivia Murphy," Twitter 10/4/2011)

今、後ろにいる子が「感情」について1,000語のレポートを書いているのに、犯罪学は単位の取りやすい科目だとなぜ皆が言っているのだろう?

 

 

他にもcrypt courseとか、meatとかbird、East A courseなども使われているようです。

 

2003年に実施されたハーバード方言調査(Haravard Dialet Survey)によれば、これらのうちもっともよく使われているのはblow-offでした。

 

回答者9,500人のうち36.57%がこの言葉を挙げています。これは、 “What do you call an easy course?”(簡単な科目をどう呼びますか)という質問に対する7つ選択肢のなかから選んだものです。

 

第二位がgut (14.65%)。 3番目にcrip course (4.98%)が来ています。

 

あとは、bird (1.08%)、crypt course (0.41%)、meat (0.25%)の順です。ただし、これら以外(other)は42.5%もありましたから、他にも言い方はあることになります。
 

 

 

(引野剛司・甲南女子大学名誉教授 11/12/2019)

 

 

ここで紹介した表現は、複数の実用例に基づいています。その他の実用例や関連表現は実用・現代用語和英辞典(本体)(www.waeijisho.net)をご覧ください。

 

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