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英語世間話、これ英語でどう言うの?

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「税金の私物化」は英語でどういうか

2019年11月13日

 

 安倍首相主催の「桜を見る会(cherry blossom-viewing party)が、国会で「税金の私物化だ」と批判されています。

 

 国の公的行事に、首相は個人的な利害を絡めていると、野党が糾弾しています。本来は公平であるはずの招待客に、首相の後援会のメンバーを多数招き、選挙運動の道具に使っているというのが野党の主張です。

 

「私物化する」は、「個人的な目的で使用する」「個人的な利得のため使用する」が英語発想の表現です。

 

    use … for personal purposes

    use … for private purposes

    use … for personal gain

 

です。したがって、「安倍首相は桜を見る会を私物化した」なら

 

 

 

Prime Minister Shizo Abe has used cherry blossom-viewing parties for his personal purposes.

 

となります。もちろんpurposesの代わりにgainを使うこともできます。ただし、これは、断定的な表現ですから、避けたいところです。そのためには「~と言われている」と意味のallegedlyとかreportedlyを使えば問題は解消します。

 

 

 

 Prime Minister Shinzo Abe has reportedly used the cherry blossom-viewing party for his personal purposes.

 

 

 

 「桜を見る会」は政府の公的な行事であることを付け加えると、より私物化の意味が明確になります。こんな感じです。

 

 

 

 Prime Minister Shinzo Abe has reportedly used the cherry blossom-viewing party, an official event of the government, for his personal purposes.

 

 

さらに、「野党議員が批判している」という情報を付け加えて表現するなら、

 

 

 

 Opposition legislators are criticizing Prime Minster Shizo Abe for using cherry blossom-viewing parties, official events of the government, for his personal purposes.

 

 

 

 これで一応、「桜を見る会」をめぐる論議についてはざっくりと表現できるのですが、本題の「税金の私物化」の部分が抜けています。

 

「税金の私物化」など「税金の不適切な使用」で、英語圏で定着している表現に

 

 

  misuse of taxpayers’ money (納税者のカネの誤用)

 

  abuse of taxpayers’ money (納税者のカネの濫用)

 

 

 

があります。日本語では「税金」と一括りに表現しますが、英語ではtaxpayers’ money(納税者のカネ)という言い方をよくします。

 

 大方の日本人に頭のなかでは、一旦収めた税金は「お上」のもので「公金」に変質するのですが、アメリカでは、税金は納入後も自分たち納税者のカネであることに変わりはないという意識が常にあります。

 

 ですから、「自分のカネ」が政治家や官僚によって、本来の目的以外に使われたり、私的に使われたのがわかると、misuse of taxpayers’ money(納税者のカネの誤用)、abuse of taxpayers’ money(納税者のカネの悪用、納税者のカネの濫用)という言葉で激しく、非難します。

 

このフレーズが、「野党議員は、安倍首相の桜を見る会を税金の私物化と批判している」に使えます。

 

 

 Opposition legislators are criticizing Prime Minster Shinzo Abe for his misuse of taxpayers’ money involving cherry blossom-viewing parties, official events of the government.

 

 

 

と、安倍首相による「税金の誤用」という言い方をする方が英語的には違和感のない言い方となります。

 

最後に、use … for personal purposesとmisuse of taxpayers moneyの実用例を紹介しておきます。

 

 

 

 You cannot use your position with the Government for your own personal gain or for the benefit of others.

                                      ("Ethics - Misuse of Position," U.S. Department of Energy)

 私的利益、あるいは他人の利益のために政府での地位を使用することはできません。

 

 

 

 His calls to investigate Joe Biden were for personal purposes, not for the good the USA.

                        (Bizzard, Florida Twitter 11/13/2019)

 ジョー・バイデンを調査するよう求める彼の電話は個人的な目的のためであり、米国のためではなかった。

 

 

 

 I am opposed to public-private partnerships -- this is misuse of the taxpayers money.

     ("Testimony IN OPPOSITION to:HB 7160  AN ACT INCREASING VOTER ACCESS," C​ONNECTICUT ​R​EPUBLICAN ​A​SSEMBLY,State of Connecticut 3/25/2019)

  私は官民パートナーシップに反対しています。これは納税者のお金の誤用です。

 

 

 最初の例は、米エネルギー省の職員倫理規定の一文です。次のツイッターの「His」は、トランプ大統領をさしており、今、大統領弾劾調査の焦点となっている、ウクライナのゼレンスキー大統領への電話についてのつぶやきです。ご参考まで。

 

 

(引野剛司・甲南女子大学名誉教授 11/13/2019)

 

 

ここで紹介した表現は、複数の実用例に基づいています。その他の実用例や関連表現は実用・現代用語和英辞典(本体)(www.waeijisho.net)をご覧ください。

 

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