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英語世間話、これ英語でどう言うの?

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今、マラソン界で話題の「厚底シューズ」を英語で言う。

2020年02月04日

 

 

 

「厚底」は、英語ではplatform soleと言います。

 

 駅の「プラットフォーム」と日本語にもなっているplatformとはOxford Dictionaryの定義では「人や物が立てる高くなった表面(a raised level surface on which people or things can stand)です。Soleは「足の裏」とか「靴の底」ですから、platform soleとは「少し高くなった靴底」という意味です。

 

「厚底シューズ」は「厚底」と「靴」を組み合わせ、shoes with platform solesとかplatform sole shoes、簡略化してplatform shoesと呼ばれ、1970年代にハイファッションとして流行して以来、おもに女性ファッションなどの記事には広く使われています。ちなみに、「厚底靴」は古代ギリシャの時代よりあるそうです。

 

ここ数年、マラソンなど長距離の国際レースでナイキ製の厚底シューズを履く選手が続々と好記録を出し、日本のマスメディアにもニュースの見出しに「ナイキ厚底」「ナイキ厚底シューズ」という言葉が躍っていました。

 

ナイキ厚底、東京五輪で条件付き容認 世界陸連が結論」(朝日新聞 2/1/2020)

「『厚底シューズ』現行モデルは東京五輪で使用可 世界陸連」(NHK 2/1/2020)

 

 

「ナイキの厚底シューズ」は英語にするとNike platform sole shoesとかNike platform sole sneaker、platform sole sneaker by Nikeなどなります。が、しかし英語圏のマスメディアのこの騒動の報道には、これらの言葉はほとんど使われていませんでした。

 

 

米英のメディアが使っているのは、Vaporfly(ベイパーフライ)とかNike Vaporfly shoesとの商品名です。Vaporflyという語が、英語圏ではすでに定着しており、これだけで十分伝わるからだと思われます。

 

 

New York Timesの2020年1月31日の電子版のみだしには

 

 

 

Nike Vaporfly Shoes Avoid Olympics Ban

ナイキ・ベイパーフライ・シューズがオリンピック禁止を免れる

 

 

 

イギリスBBCニュースの同じく2020年1月31日の見出しも

 

 

 

Nike Vaporfly shoes are not banned but Eliud Kipchoge's are

ナイキ・ベイパーフライ・シューズ、禁止されず。しかしエリウド・キプチョゲ(選手)のものは禁止

 

 

ちなみに、キプチョゲ選手は、ケニアの長距離ランナーで、2019年10月に「アルファ―フライ(Alphafly)」というナイキの試作品シューズで男子マラソンの世界最高記録をだしました。東京五輪ではナイキの厚底のマラソン用シューズでもベイパーフライシリーズはOKだが、アルファフライシリーズはノーだというわけです。

 

英語圏の報道では日本のように、この靴の特徴である「厚底」という点を強調しているようには見えませんでした。記事の本文にVaporflyの説明に、platform soleを使っているものは調べてみた限りではありませんでした。

 

「厚底」という靴の特徴ではなく、high-tech(ハイテク)とかcontroversial(物議をかもしている)をVaporflyにくっつけ、次のように表現しています。

 

 

Nike's high-tech Vaporfly shoe (ABC Premium News, Australia 1/16/2020)

ナイキのハイテク・ベイパーフライ・シューズ

 

Nike Inc.’s high-tech Vaporfly running shoe(Bloomberg 1/29/2020)

ナイキ社のハイテク・ベイパーフライ・ランニングシューズ

 

Nike's controversial Vaporfly sneakers  (Wall Street Journal (2/1/2020)

ナイキの物議をかもしているベイパーフライ・スニーカー

 

Nike's controversial Vaporfly shoes  (Daily Mail, London 2/1/2020)

ナイキの物議をかもしているベイパーフライ・シューズ

 

Nike Inc.'s controversial high-tech Vaporfly sneakers  (Dow Jones Institutional News, New York 1/31/2020)

ナイキ社の物議をかもしているハイテク・ベイパーフライ・スニーカー

 

controversial Nike Vaporfly  (Guardian, London 2/4/2020)

物議をかもしているナイキのベイパーフライ

 

The controversial Nike Vaporfly shoes  (Telegraph, London 1/31/2020)

物議をかもしているナイキのベイパーフライ

 

The most controversial shoe in sports, the Nike Vaporfly  (Wall Street Journal 11/1/2029)

スポーツにおけるもっとも物議をかもした靴、ナイキ・ベイパーフライ

 

 

また、少数ではありますが、super(スーパー)やmuch-talked about(評判になっている), global running shoe phenomenon (世界的なランニングシューズ現象)を使っての表現もありました。

 

 

Nike Vaporfly Super Shoe (Bloomberg, New York 1/29/2020)

ナイキのベイパーフライ・スーパーシューズ

 

much-talked about Vaporfly (CE Noticias Financieras, English ed.; Miami,USA 1/15/2020)

評判のベイパーフライ

 

global running shoe phenomenon known as the Nike Vaporfly (Irish Times 12/14/2019)

ナイキ・ベイパーフライというグローバルなランニングシューズ現象

 

 

 

というわけで、「話題になっているナイキの厚底靴を買いたいと思っている」というようなことを英語で言いたいなら、「厚底靴」の部分は忘れて

 

 

 

I want to buy Nike Vaporfly shoes.

I would like to buy a Nike’s high-tech Vaporfuly sneaker.

I want to get much-talked about Nike Vaporfly running shoes.

 

 

 

などと言った方が英語圏の人にはわかりやすいかもしれません。

 

 

(引野剛司・甲南女子大学名誉教授 2/4/2020)

 

 

 

 

 

  ここで紹介した表現は、複数の実用例に基づいています。その他の実用例や関連表現は実用・現代用語和英辞典(本体)(www.waeijisho.net)をご覧ください。

 

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