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英語世間話、これ英語でどう言うの?

エッセイ一覧

「口臭」を英語で言う

2009年08月09日

日本人が最も気にしているにおいは、口臭なんだそうだ。口が臭いため、同僚や恋人を避けるようになったとか、付き合いまでやめた人がいる、というグリコのインターネット調査の結果が今朝の毎日新聞に載っていた。

「体臭」はbody odorと日本語と同じ発想で言うが、「口の臭い」はmouth odorなどとは言わずなぜか

bad breath

と表現する。日本語の「息がくさい」と同じ言い方だ。口臭というのは医学的には口そのものがにおうのか、息がにおうのかは、私にはよくわからないが、言語的には英語では「息がひどい」と表現する。

日常の暮らしのなかでは、「口臭がする」とか「口が臭い」「息が臭い」は

You have bad breath. とか He has bad breath.

とhaveやhasを使って言う。鼻をつまみたくなるぐらいひどい口臭は

terrible breath

とbadがterribleに格上げされる。

He has terrible breath. あるいは His breath is terrible.

と、はく息が猛烈に酒臭い人などに対して、陰でこっそりと言う。かなりきつい言葉だ。

アメリカ人も口臭は切実な問題であるようで、bad breathで検索をかけてみると口臭にかかわる記事は「ニューヨークタイムズ」には数限りなくでてきた。

PLAGUED by chronic bad breath?
慢性の口臭に悩まされていますか?

REALLY?; Eating parsley can eliminate bad breath.
ほんとう?パセリを食べると口臭がとれる

などという見出しの記事や、

But my husband says I smell fine; no bad breath. I finally  call my doctor. I discover that I suffer from phantosmia.
しかし、夫は自分の臭いは大丈夫だといっています。口臭はない。私はかかりつけのお医者さんに電話をしました。私は異臭症にかかっているのがわかりました。

このように書き出されている記事もあった。phantosmiaというのは、臭いのないところでも、臭いを感じてしまうという病気なのだそうだ。これは夫の問題なのか、妻の問題なのかを想像させるジョークとしてもおもしろい。

その昔、アメリカにいるとき、ジャーナリズムを勉強している白人の大学院生たちとのビールを飲みながらの世間話が人間のにおいに及んだことがあった。口臭の話はたぶんでなかったか、覚えていないかのどちらかだが、体臭については強烈な話が多くて、いまだによく覚えている。一人が、たしか

They are stinky people.
彼らは、臭う人たちだ

というようなことを言って黒人の体臭の強さを語りだした。stinkyとは「悪臭のある」とか「いやな臭いのする」という意味で、面と向って言える言葉ではない。こんな悪口のたぐいがあることを、そのとき始めて知った。

思いがけなかったことは、日本人は、白人や黒人と比べれば体臭は少ないと私が自慢げに言ったときだった。彼はすかさず反論をしてきた。

They say Japanese people smell like soy sauce.
日本人は醤油のにおいがすると、皆な言ってるよ。

そうか、そんな風に言われていたのか、とショックだった。黒人の強い体臭とか日本人の醤油臭さは、白人の持つ人種のステレオタイプで、人種への偏見が体臭と結び付けられて出来上がっている。

口臭にせよ体臭にせよ人が発散する臭いは、人に強烈なインパクトを与えているのは確かなようだ。



(ひきの・たけし)

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