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英語世間話、これ英語でどう言うの?

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Pinch me, 英語でも「つねって」確かめる、夢のようなこと

2010年07月17日

夢のような現実にほっぺたをつねって夢ではないことを確かめてみる。日本人だけではなく、英語が話されている世界でも、これをやる。

 

Someone, pinch me. I must be dreaming.”

「誰か、私をつねってみて。夢を見ているのに違いないから」

 

などという言葉が日常、使われる。「指でつねる」という意味がpinchにはある。「つねる」ところは頬(ほう)と日本語では決まっているが、英語では場所は特定せずに「私をつねって」表現するところが微妙に違う。

 

もうひとつ、日本語と英語でちょっと違うところがある。

 

日本語では、おおむね目の前で起っている素晴らしい出来事が夢でないことを願って、頬をつねるのであるが、英語では、いやな現実が夢であってほしいと願うときにも、pinch meを使う。幸せに感じる状況のときだけではなく、悲しい出来事が起っているときも、「私をつねってみて」と言う。

 

ぼく自身は「夢のような幸せ感」を味わうことはここ数十年間なく、「ほっぺたをつねる」という言葉を口にしたことはない。実際に頬をつねったこともない。それで、「ほっぺたをつねる」という言葉は、英語ほど日本語では日常使わないのではと思い、ネットで検索をかけてみた。

 

結構、使われている。いろんな人がこの言葉を使っていたが、お笑いコンビ「キャイ~ン」のウド鈴木が結婚報告の記者会見の記事にあった。

 

ウドは「人生において(プロポーズを)初めて受け入れてもらって天にも昇る気持ち。ほっぺたをつねることを最近初めてやってみた。この痛さは幸せなんだとヒシヒシと感じる」とのろけた。(スポニチ 20060415日付)

 

このウドのように好きな人と結婚できたときのように、幸せをひしししと感じる瞬間をいう表現が英語にはじつはある。

 

「私をつねってほしい瞬間」つまり、a pinch-me momentだ。こういう言い回しは日本語にはない。日本語ならさしずめ「夢のような瞬間」だ。

 

この表現がMainichi Weeklyの6月12日号にあった。元ビートルズのポール・マッカートニーがガーシュイン賞というアメリカの賞を受け、ホワイトハウスで授賞式があり、オバマ大統領一家の前で歌ったというAPの短信だ。ガーシュイン賞というのは米国議会図書館がポピュラー音楽の分野で功績のあった人に与える賞なのだそうだ。

 

かっては栄光の座にあったビートルズのポール・マッカートニーが67歳となり、ホワイトハウスで歌を披露して、pinch-me momentと表現した、単なる外交辞令ではなく本当に感激したのだろう。そう思いたい。

 

(初出:Mainichi Weekly 7/17/2010    ひきの・たけし  waeijisho.net)

 

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